会えない時間が愛を育てる、という歌がある。
実際に、会えない時間が続くと「会いたい気持ち」が募っていく。
相手のことを、あれこれ考える時間も長くなる。
そして、なんとなく記憶の中の相手は美化されていって、気付いたら「もしかしたら私、彼のことがものすごく好きなのかも!」なんて思ってしまうこともある。
でも、いざその本人に会ってみると、想像の中の彼は何割増かにされていて、実物にはたいしてときめけなくてがっかりしたりする。
一番良くないのは、自分が好きな状態のまま離れた恋人、だろう。
会えないまま何年もの時が過ぎ、その時間の中でどんどん美化されていく、かつての恋人。
いい思い出ばかりが記憶に残り、容姿に関しても記憶の中では数割り増で上書き保存されていたりする。
実際は離れてから時が経ち、お互い年齢を重ねている訳で。
いざ再会したら現実に直面してがっかりすることになるのだろう。
がっかりすることなく、再会してお互いの想いが再燃したとしても、想像の中では出てこなかった相手の嫌なところが、目に付くようになるかもしれない。
会えない時間が愛を「育てる」というよりは、想像力が相手を美化して、恋愛感情を「捏造」するような気がしているのは、私だけだろうか。
想像の中で今日も美化されつづけるあの彼とは、このまま一生再会しない方が幸せなのかもしれない、とときどき思う。